現代経済では、国境を越えてお金が動くことは珍しくありません。そうした国際的な金融活動に焦点を当てて研究するのが国際金融論です(国際面を考慮に入れた経済モデルを開放経済モデル、そうでない経済モデルを閉鎖経済モデルと呼びます)。
金融政策について言いますと、閉鎖経済モデルと違って開放経済モデルでは国際収支や為替レートも金融政策の目標になります。また、資本移動の状況やFX為替相場制度によって金融政策の効果がどう変わるかも大変重要な問題です。
国際マクロ経済学の基本モデルである国際版IS-LMモデル(開発者の名前をとってマンデル・フレミングモデルと呼ばれます)では、閉鎖経済と開放経済で金融財政政策の有効性が大きく変わることが示されます。
たとえば国際的な資本移動が自由で変動相場制を採用している小国では、金融政策は景気刺激効果を持っていますが、財政政策は驚くことに景気刺激効果を持たないことが導かれます。
金融システムの点では国際通貨制度の議論をあげることができます。わが国ではFX変動相場制度が採用されていますが、ヨーロッパでは主要国が共通通貨(ユーロ)を採用していますし、世界の多くの国は特定通貨(たとえば米ドル)と自国通貨のFX交換レートを固定しています。
こうした様々な通貨制度がありますが、どういった通貨制度がどのような状況で望ましく、またどのような問題を持っているのかが研究されています。
現在の変動相場制の歴史はわずか30年
各国の通貨は現在でこそ世界中で自由に取引され、毎日、その日のFXレートが変化する変動相場制という自由なシステムの中で動いています。しかし、実は現在の変動為替相場制の歴史は、30年そこいらしかないのです。
FX相場、あるいは国際的な通貨制度とも言える、その歴史はおおよそ次の三つの時代としてとらえることができます。
●金本位制の時代(英国ポンド主導の時代)
●米国のドル主導の時代(ブレトンウッズ体制、固定相場の時代)
●現在の変動相場制の時代
金本位制ですが、通貨の価値を金を基準にして決める、というものです。必要に応じて通貨を金に換えることができました。 元来、通貨というのは、いわば紙キレ1枚ですから、金という財産に交換できる、ということで通貨の信用を確保したのです。
19世紀初頭にイギリスが自国通貨のポンドでこの金本位制を導入して以来、アメリカ、ヨーロッパ諸国、日本など世界はこの制度を導入しました。つまり、通貨どうしの取引、為替も金の信用基盤の上で動いてきたと言えます。